最大2.4Gbpsの速度で日々上がっているインターネットのニーズを十分に満たすマンション光は、現代の住宅に欠かせない設備となっています。
しかし、多くのマンションでは光コンセントがなく、インターネット環境を整えるためには工事が必要です。マンション光回線の導入や増設を検討している方にとって、工事費用(マンションやアパートの場合約15,000円)や申し込みから開通までの期間(約2~4週間)は重要な検討事項です。また、光コンセント工事には建物のオーナーや管理会社の許可が必要となるため、事前の準備が欠かせません。
この記事では、マンション光回線工事の基本から、増設の判断基準、具体的な工事の流れまで、初めての方でも安心して進められるよう分かりやすく解説します。さらに、光アクセスポイントを活用することで設備購入コストを約60%節約できる可能性についても触れていきます。
光配線の基本と現状を確認する
マンション光の配線方式には主に「光配線方式」「VDSL方式」「LAN配線方式」の3種類があります。それぞれの特徴と速度を理解することで、現在の状況と増設の必要性を判断できます。
光配線方式:電柱からマンションの共有部分を通り、各部屋まで光ファイバーケーブルで接続する方式です。最大通信速度は理論値で1~10Gbpsと最も高速。新しいマンションに多く見られ、通信速度と安定性に優れています。
VDSL方式:共有部分までは光ファイバー、そこから各部屋までは電話回線で接続します。速度は最大50~100Mbps程度で、古いマンションに多い傾向があります。
LAN配線方式:共有部分までは光ファイバー、各部屋まではLANケーブルで接続。速度は最大100Mbps~1Gbpsです。
光回線が導入済みかどうかを確認するには、室内の光コンセントの有無をチェックしましょう。光コンセントには一体型と分離型の2種類があります:
- 一体型:電源コンセントと一体になっており、「光」または「光SC」の表記があります
- 分離型:壁に独立して設置され、エアコンダクトなどから引き込まれることが多いです
ただし、光コンセントがあっても必ずしも利用可能とは限りません。前居住者が撤去していたり、配線が断線していたりする場合もあります。確実に確認するには、管理会社や不動産会社に問い合わせるのが最も確実な方法です。
光配線を増設すべきタイミングと判断基準
VDSL方式からの切り替えを検討すべき明確な兆候があります。インターネット速度が最大100Mbps程度と遅く、オンライン活動に支障をきたす場合、光配線方式への移行を考えるべきです。
特に、複数の家族が同時にインターネットを使用する環境では、通信速度が著しく低下することがあります。夜間や週末などの混雑時間帯に速度低下が顕著になる場合、これは共有回線の限界を示すサインといえます。
具体的な判断基準として、以下の用途には光配線が強く推奨されます:
- ライブ配信:安定した配信には上り下り共に20~30Mbpsの速度が必要
- 4K動画視聴:最低20Mbps以上の速度が快適視聴の目安
- オンライン会議:HDビデオ通話では上り2.6Mbps、下り3.0Mbpsが必要
- テレワーク:安定した業務には10~30Mbpsが望ましい
NTT東日本は通信品質向上と環境負荷低減を目的として、VDSL方式から光配線方式へのリニューアル工事を順次実施しています。2020年7月からはVDSL方式から光配線方式への変更工事費が無料となりました。
VDSL方式の集合装置が設置されているマンションにお住まいの方は、管理会社の了承を得たうえで、建物共用部へ光スプリッタの導入が必要です。特に最大10Gbpsの高速通信を求める場合は、光配線技術への切り替えが不可欠となります。
光配線の増設手順と工事の流れ
マンションで光回線を増設する具体的な手順は、事前準備から工事完了まで複数のステップに分かれています。
まず、光回線の申し込み前に、管理会社や大家さんへの確認が不可欠です。賃貸物件では無断で工事を進めるとトラブルになる可能性があります。承諾を得たら、回線業者に申し込みを行い、工事の日程調整をします。申し込みから工事まで通常約2~4週間、混雑時期は2~3か月かかることもあるため、早めの予約が重要です。
実際の工事は以下の流れで進みます:
1. 電柱から光ケーブルをマンション共有部へ引き込む
2. 共有部から各部屋まで光ケーブルを配線
3. 室内に光コンセントを設置
4. ONUやルーターなどの通信端末を接続
工事には通常1~2時間程度かかり、立ち会いが必要です。費用は約15,000~40,000円ですが、工事費無料キャンペーンを実施している事業者も増えています。
すでに光コンセントが設置されている場合は「無派遣工事」となり、自分で設置できます。ONUを光コンセントに接続し、ルーターなどの機器を設定するだけで利用開始できます。
最近では光配線技術を活用したオール光配線方式が登場し、最大2.4Gbpsの高速通信が可能となっています。
結論
マンション光配線の導入は、現代のインターネット環境において非常に重要な選択肢となっています。特に、VDSL方式を使用している場合、最大100Mbps程度の速度制限により、複数人での同時利用や高画質動画視聴、オンライン会議などに支障をきたす可能性があります。このような状況では、光配線方式への切り替えが強く推奨されます。
光配線方式への移行によって、理論値で1~10Gbpsという高速通信が実現し、日常のインターネット利用がより快適になります。また、近年では光配線技術の進化により、最大2.4Gbpsの通信速度も可能になりました。
実際の増設工事を進める際には、管理会社や大家さんへの事前確認が不可欠です。承諾を得た後、回線業者への申し込みから工事完了まで約2~4週間程度かかることを考慮し、計画的に進めましょう。工事費用は約15,000~40,000円ですが、キャンペーンを利用することで節約できる可能性もあります。
光コンセントの確認や光配線方式の選定、そして適切な時期での増設判断が、マンション生活における快適なインターネット環境構築の鍵となります。通信環境の重要性が増す現代社会において、この記事で紹介した知識を活用し、自宅のネットワーク環境を最適化することで、ストレスのないデジタルライフを実現できるでしょう。